2019.10.16
日常の中の物語の構造
こんにちは。まりっぺです。
気づけばもう10月。
最近涼しくなってきましたね。
「あ…もう夏に感じるあの風じゃないな。」と少しさみしく思います。
さて、前回ジブリとディズニーという全く違う映画を比べることで、
物語の構造についてお話しましたが(物語の構造で考える)、
今回はもっと身近なところで使われている「物語の構造」についてです。
実際に「物語の構造」が使われているかどうかはわかりませんが、
「物語の構造」を使った1つの考え方として話していきたいと思います。
「身近なところで物語の構造が使われている。」
そんなことを今まで私自身そんなに意識したことはないのですが、
考えると意外と多いことに気が付きました。
例えば、薬局に売っているハンドクリーム。
毎回同じ物を買う、
絶対決めている物がある、
皮膚科に行って処方してもらう、薬局なんかで買わないわ~(笑)
という方以外は、きっと1度は選んだ経験があると思うのですが。
どうでしょうか?
皆様は薬局でハンドクリームを選ぶ時何を見て決めますか?
おそらくですが、
ハンドクリームのパッケージをみて決めている方が多いのではないでしょうか?
それでは、実際に見てみましょう。
下記に4つのハンドクリームを用意しました。
4つのパッケージには、それぞれの主人公に向けての物語が書かれています。
そして、ここでいう主人公はあなたです。
ん?主人公が自分?そう感じている方もいるかもしれません。
そのあなたが主人公となる物語とは、
あなたがハンドクリームを買いに薬局に行くまでの物語。
ハンドクリームを使いたい
↓
薬局に買いに行こう
↓
どのハンドクリームにしよう
と、思考し行動に移る過程のことです。
例えば、私の場合の物語はこうなります。
- 一人暮らしにも、新しい職場にもなれてきた私は、最近しっかりと自炊をすることを心がけています。自炊をするようになってからキッチンに立ち、水仕事をすることが増えました。それと同時に家で過ごす時間も増え、掃除を積極的に行うようになりました。
- しかし、手を洗う⇒拭くを繰り返すうちに、どんどん手が乾燥しガサガサになってきました。
- これ以上乾燥を悪化させたくないなと思った私は、ハンドクリームを買いに行くことにしました。
- 薬局では様々なハンドクリームが売られていました。
- 私は、「毎日パソコンを使うし、あんまりベタベタしたハンドクリームを使うのは嫌だな~。手を洗う回数も多いし、ハンドクリームを塗ってもすぐとれちゃうかもしれないけどな~。」と思いながら、ハンドクリームを探します。
ここで少し、あなたがハンドクリームを買う時の物語を考えてみてください。
どうでしょうか?
あなたは、4つのハンドクリームの内どれを選びますか?
私達が店頭に並んでいる物を探すとき、商品が何か、その商品のブランド、商品名、効果や成分、他の商品との違いを確認し、自分が求めている物と一番近い商品を買うと思います。
そして、店頭に並んでいる商品は、消費者である私達に向けてそれぞれの価値を見せています。その価値こそが身近なところで物語の構造を使っているものと考えられます。
- その商品は何か?
- その商品の対象消費者は誰か?
- その消費者が抱えている問題は何か?
- その消費者が商品を買う目的は何か?
- その目的以外にも何か目標があるのか?
- 他の商品(競合)と違う部分は何か?
- その商品が提供できるものは何か?
ターゲットとなる消費者を主人公に考え、商品の価値を伝えるための物語を、商品パッケージにふきこんでいるのです。(物語の構造を使って)
実は、商品のパッケージに反映する物語として、
上記の私の物語を書く際にプロットポイントごとに番号を振っていたのですが、
気が付きましたか?
- 現状の説明:水仕事が増えた
- 事件/問題の発生:手が乾燥して気になる
- 盛り上げ/行動:よし、ハンドクリームを買いに行こう!
- 危険(他社との競争):ハンドクリームの種類が沢山(;O;)
- クライマックス(解決策・価値の見出し):こんなハンドクリームがいいな~
本来ならば、5つの物語の流れに続いて
商品を選ぶ→買う→結果使ってどうなったか - オチ:自分に合うハンドクリーム発見
- エンディング:乾燥が解決
というポイントがあるはずなのでは?と思いませんか?
今回はわざと省いています。
オチ、エンディングは、消費者の目的・目標になります。
ということは、商品を購入し使ってもらいその結果の部分と考えることができます。
商品パッケージにふきこまれる物語は、
消費者が目的・目標を達成できるように作られる物語なので、
商品そのものがオチであり・エンディングになります。
話を戻しますが、上記のパッケージをもう一度見てください。
それぞれのターゲットに向けて物語がふきこまれたパッケージになっていると思いませんか?
私が選ぶ商品は4つの商品の内1番右のもの、ピンク色の文字で「ぬれた手にもそのまま使える時短ハンドケア」とという表記のある商品。
ポイントは「水仕事にも、家事の合間にも使える」という、私のハンドクリームを買いに来るまでの物語(過程)がパッケージに反映されていて、私にあてはまると感じさせてくれる物だというところです
では考えてみてください。
一番左のピンク色のハンドクリームにはどんな物語が反映されているのでしょうか?
この商品の主人公は、赤ちゃんのいるママさん。
ピンク色の可愛らしいパッケージに、赤ちゃんの写真、そして大きく「低刺激」右上には「無香料・無着色」と書かれてあります。
敏感な肌をもつ赤ちゃんのことを1番に考えるとやっぱり成分や香りが気になるところ。自分の手が荒れているのはもちろん嫌だと思うのですが、それと同時に自分の手は赤ちゃんに触れる手であるという事を考えるのではないかと商品にはそんな物語が反映されています。
それぞれの物語を背負い商品は商品自身でコンセプトを明確に提示し、商品の購入を提案しています。冒頭にもお伝えしましたが、実際に今回取り上げたハンドクリームが、物語の構造を使い作られたものかどうかはわかりません。しかし、このように、物語の構造に当てはめることができ、商品の本質を見極めることができる。物語を使うことで、より消費者の立場にたった商品の提示が可能になるのではないかと私は考えています。