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2019.6.30

ストーリーマーケティングにおける6つの構成要素

ストーリーマーケティングにおける6つの構成要素

こんにちは、代表の杉山です。

 

先日の日曜日は当社のPVの楽曲も提供いただき、度々社内イベントにも顔を出していただくなど親しくさせていただいている、ROYALcomfortさんのライブでした。

 

今回は”ROYALpark”と題して、全国9箇所を対バン形式で回るツアーの封切り公演。

対バンならではの、新しいアーティストとの出会いがあったり、徐々に会場のボルテージがあがっていき、最後のROYALで最高潮を迎えるライブパフォーマンスなど、最高に楽しめました。

 

今、世界最古の「ストーリー創作指南書」と評されるアリストテレスの「詩学」を読んでいるのですが、古代ギリシャ時代の芸術の精華であった”悲劇”にも、現代の”音楽ライブ”にも、”マーケティング”にも人の心を動かすためのストーリーの「構成要素」には似通った点があるのではないかと感じました。

 

今回はアリストテレスの遺した、古代ギリシャ時代の悲劇の6つの構成要素から、現代のマーケティングにおける押さえておくべき要素について考えてみたいと思います。

 

ストーリー創作における6つの構成要素

 

アリストテレスといえば、哲学者として有名すぎるほど有名ですが、当時の芸術である悲劇、喜劇、叙事詩においては「言論」の要素が色濃く、アリストテレスが「詩」と「人」との関係を哲学的に紐解くという立場からストーリーを論理的に体系化したのが、この「詩学」です。

詩学

もう2千年以上前の本ですが、その頃からストーリーの基本構造、「逆転」「再認」「受難」などについて論じており、後世の芸術家達に多大な影響を与えたと言われています。

 

この「詩学」の中で、ストーリー創作における6つの構成要素としてアリストテレスは以下の6つを挙げています。

 

  1. 視覚効果(舞台装置)
  2. 性格(キャラクター)
  3. ストーリー(プロット)
  4. 語法(台詞)
  5. 歌曲(メロディー)
  6. 思考(弁論術)

 

1.視覚効果(舞台装置)

アリストテレスの時代には、そこまで大掛かりな舞台装置はなく登場人物の衣装や装飾程度であったため、「詩学」の中でも殆ど触れられることのない要素ではありましたが、その世界観を表現するために6つの必要要素の中に取り入れられていました。

 

現代においては技術の発展により、この部分の表現力が飛躍的に伸びました。

ある程度の規模のライブに行ったことがある人なら、その視覚的な演出により気分が高揚したり、感動したりした経験を一度は感じられた事があるのではないでしょうか。

 

Webマーケティングに置き換えると、例えばWebサイトのキービジュアルであったり、サイトの中のデザインやクリック(タップ)した時に心地よく感じさせるような動き(モーション)、動画による表現などが当てはまります。

 

まず、訪れてくれた人を伝えたいストーリーの世界にいざなうために、その世界観を表現し理解してもらわなければいけません。

そのために、より効果的に視覚効果を使うことができる現代においては非常に重要な要素だと言えます。

2.性格(キャラクター)

「詩学」の中では悲劇を中心に話が展開されているため、登場人物のキャラクターとしては「性格が優れている」ことが第一に条件として挙げられていました。

(喜劇は愚かな人の笑える物語、悲劇は優れた人の悲しい物語、ということです)

つまり、物語のテーマに合った性格を持つこと、が重要です。

また、その人物っぽい振る舞いをすること、ぱっと見で人物像が判るようなリアリティがあること、性格・行動が一貫していること、などが挙げられます。

 

ストーリーマーケティングにおいても、この「キャラクター」は非常に重要です。

その「企業らしさ」を表現するために、ケースによっては企業を擬人化した文字通りの「キャラクター」が有効な場合もありますし、中小企業においては社長自身がその役割を果たす事もあります。

 

キャラクターの性格は一連のストーリーの中で受け手に浸透していくもののため時系列でそのキャラクターのいろいろな面を見せていくことが大事です。

例えばブログを欠かさずに書くとか、twitterで発信するとか、これまでの生い立ちを伝えるとか、いくつかの方法が考えられるでしょう。

3.ストーリー(プロット)

ここで言うストーリーとは、「出来事の組み立て(プロット)」を指し、詩学の中では6つの構成要素の中で最も重要なものとして挙げられています。

 

そもそも、なぜ悲劇などの詩作が人の心を動かし、芸術として広まったのかを追求すると、

・「模倣すること」が人間の本能として備わっているため、人間は「模倣像」が好きである

・学習してわかることが最も心地よいものである

ということです。

 

平たくいうと、良い歌の歌詞を聞いて感動するときのように、

「あ、そういう事、あるある(そういう人、いるいる)」「わかるわー」

という感情がストーリーの人を惹き付ける力の源泉とも言えます。

 

その「模倣像」、いわば「演技」は静的なものではなく、その人の行動による出来事の積み重ね=プロットであるため、この出来事の出現やキャラクターの行動をどうコントロールするかストーリー創作において大きな鍵を握ることになります。

 

ストーリーマーケティングにおいても、共感してもらえるような会社や商品、経営者の人生の縮図を表現したり、ユーザーの行動に対してどのように出来事を積み上げていくのか、カスタマージャーニーマップを設計することであったりお客様の声をより深掘りしてサービスをあたかも自分のことのように疑似体験してもらう、など様々な活用方法が考えられます。

4.語法(台詞)

このパート、「詩学」ではめちゃめちゃ頁数が割かれています。

(半分以上は読み飛ばしてます。笑)

当時の環境を考えると、視覚効果も後で出てくる音楽も、そこまでリッチなものはなかったと思われるため、当時からある人間一番の道具、

「言葉」にフォーカスが当たるのも当然であったのかもしれません。

 

怒っている時、祈っている時、人に尋ねる時、どのような話し方になるのか、その時の発音は、声のトーンはどのようなものか、など事細かに考察されています。

 

これも(3.ストーリー)の模倣、演技においてどこまでその場の雰囲気や感情を表現できるか、という点で重要な項目です。

この語法により、いかにプロットを自然に追っていけるか、感情移入できるかが決まります。

 

マーケティングにおいても、広告のキャッチコピーの文体やWebサイト中の原稿のトーン、企業スローガンの設計などにおいて十分に言葉を練る必要があります。

5.歌曲(メロディー)

詩学の中で音楽は、

「快い効果を生み出すものとして最大なのは歌曲である」とされています。

 

そこまで持ち上げておいて、その後音楽の重要性についての解説が詩学の中では殆どされていないのが残念ではあるのですが、逆に考えると、あって当然のもの、本能的に人の心を動かせるものという事なのかもしれません。

 

マーケティングの中でも、昔からTVCMのサウンドロゴ、イメージソングなどで企業イメージのブランディングが図られてきましたが、Webでのコミュニケーションの中でも動画の活用が普及してきたこともあり、この「音楽」に対する重要性を再認識すべきタイミングにあるのではないかと考えています。

 

例えば、YouTubeの動画の初めに流される広告は、動画を見たいユーザーにとってはある意味邪魔なものですが、一瞬で心を掴むような音楽がそこで流れた時、その広告に対するイメージはガラッと変わるのではないでしょうか。

6.思考(弁論術)

最後のポイント、「思考」についても詩学の中では殆ど触れられておらず、その解説を同じくアリストテレスの「弁論術」に譲る、とあります。

その弁論術の中では自分の主張を伝えるため、また人の心を動かすためにどのような論理の組み立てや戦略が必要なのかという事を心理学も交えながら解説されています。

 

「話す人の人柄」、「聞く人の気分」、「話の内容の正しさ」の3つの要素を的確にコントロールすることで、その効果を上げることができる、ということですが、この点についてはまた別の機会に「弁論術からみるストーリーマーケティング」として取り上げられればと思います。

 

 

以上、詩学で重要な構成要素として取り上げられていた6つのポイントをそれぞれ現代のマーケティングに照らし合わせつつ見てきましたが、「詩学」については多論あり、当時の舞台芸術全てを網羅している訳ではなく悲劇にやや偏っていたり、現代の環境・文化とはあまりに異なる部分も多いことから、そっくりそのまま活用できる内容とは言い難い部分もあります。

 

今回のマーケティング論への展開についてはやや強引な所もあるかもしれませんが2千年以上もの間、多くの芸術家や思想家たちに刺激を与え続けた歴史と哲学という見地から人間の心理に向き合い続けたアリストテレスの著書であるという点をリスペクトし、自分の思考整理も兼ねてまとめている旨、ご了承いただきつつ一つの気付きとしていただければ幸いです。

 

ところで、冒頭のROYALcomfortですが、対バンツアーの後は全国10箇所を回るワンマンツアーが予定されています!

 

東京は12/15(日)、大阪ファイナル2/1(土)!

この機会に是非、ROYALのストーリーを感じられる「感劇」を体験してみてください!

 

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