2018.6.20
視点を変えて物語を見る
こんにちは。
2018年ついに6月…。
元旦に市内で一人暮らしを始めてもう半年。時間の流れの速さに頭がついて行っていません!ちょっと松岡〇〇チックに、常に前進!いつも自分に「行動あるのみ」と言い聞かせて1日1歩でも大事に進んでこうとしてるまりっぺです。
今回は「視点の違い」に重点を置いて話していきたいと思います。
私が何回も読み返している物語「西の魔女が死んだ」。何故か読むたびに勇気づけられる本だ。
少し前に映画化もされ物語の存在を知っている人も多いのではないだろうか?ちなみに私はこの本の情景描写がとても綺麗なところが気に入ってて頭の中のイメージを書き換えたくないことから映画は見ていない。
物語は中学生になった主人公が周りに馴染めず田舎のおばあちゃんの家に行き「魔女の修行」をしながら成長していくという話だ。
「自分」を確立していこうと奮闘する主人公の不安は誰もが経験したことがある問題であるのではないだろうか。
中学に通うという日常から離れ田舎のおばあちゃんと一緒に過ごし、自分で決めることの大切さ、幸せも喜びも自分次第ということを「魔女の修行」という形で学んでいく主人公。ここでは主人公の試練は自身の心の成長ということになる。主人公は簡単なことでも日々積み重ねていくことで自分のためになるということを学びそしてまた、主人公は生きることとはなんなのか、死ぬとどうなってしまうのか、なんてことも考えながら日常を送る。
幼い頃に面白いと感じる本は敵も味方も問題も試練もわかりやすく明確で有ることが多い。今では映画でミステリー・サスペンスをみて、敵も味方もわからないままラストまで見ているなんてこともある。「神話の法則」を知って物語を視点を変えてみることが増えた。その視点から見ると、この物語は主人公が田舎で過ごす日々が繊細な描写とともに描かれているヒューマンドラマだ。
物語が神話の法則に沿って進んでいるかと言うとそうでもない気がするが、問題もはっきりとしていて、読者の共感を得やすい物語だと思う。おそらく、「主人公の立場から読む」「客観視して読む」この2つの視点から生まれてくるものではないだろうか。
その2つの視点から考えても、その問題に今から出会う人、その問題に今まさに直面していく人、その問題を経験し乗り越えた人そしてぶつかった人、そもそもそんな問題知らない人と様々な考え方が出てくる。
物語の中から例を一つ上げると、母親が単身赴任の父親に学校に行かなくなった件に関して電話しているのを主人公はベッドの中から聞いてしまう。
「理由?さあ。あの子はとにかく・・・・・・。何ていうのかしら、感受性が強すぎるのね。どうせ、何かで傷ついたには違いないんだろうけど。昔から扱いにくい子だったわ。生きていきにくいタイプの子よね。」(15ページ)と。
主人公の立場から考えると「扱いにくい子」と聞いた子供の目線からは冷たい母親と印象が残る。
それに対して
客観視してこの状況を考えてみると、母親は主人公に学校に行きたくない理由をあまり突っ込んで質問をしていないことがわかる。母親も辛い経験をしてきているのだろう。そう感じることができるのではないだろうか。
物語は進み、問題の解決策として主人公は田舎のおばあちゃんの家で過ごすことになる。主人公に試練を与え成長させ行くおばあちゃんの立場で読んでいく「3つ目の視点」だ。
この3つ目の視点から見るとまた違ってくる。
物語で伝えたいことがはっきりしてくるのだ。
おばあちゃんは主人公と庭で育てた野菜を取り、育てている鶏から卵をもらい生活をする。
- 穏やかで豊かな暮らし
主人公に早寝早起きを食事をしっかりととることを徹底させる。
- 悪魔(物語の中で主人公が感じるマイナスの気持ち)に打ち勝つために精神を鍛える
規則正しい生活で悪魔に打ち勝つできることができるか問う主人公に対して、それをやり遂げることによって自分の意志の強さが育てられることを教える。
- 大切なのは意思の力そしてやり遂げること
主人公が唯一苦手な隣人の男性が出てくる。その人とかかわったことのない主人公は第一印象からその男性を判断し嫌う。おばあちゃんはその考え方について問う。
- 嫌いな人とは
ある日の朝飼っているニワトリが死んでいる、主人公は「死」に対してなぜかずっと恐怖を抱いてることをあかす。
- 死ぬということ、生きるということ
単身赴任だった父親が遊びに来る、主人公にまた家族3人で新しい場所で生活を始めようと提案する、主人公は今後の自分のことを考え判断するようになっている自分に気づく。
- 自分で決めるということ
おばあちゃんが物語の進行をすべて握っているかのように話が進んでいく。主人公に6つのことを伝え成長させたこの物語は人によって感じること読み解く視点が様々なことがわかる。
私自身この「3つ目の視点」を意識して読んだことがないことに気が付いた。なぜこの物語が好きなのだろう?と今思い直してみると、主人公の視点で感じ取っていた部分が多いのではないかと思った。主人公が物語の中でおばあちゃんの教えを受け入れ成長していくのと同時に私も主人公と同じように物語の中のおばあちゃんの教えをどこかで受け入れていたように今では思う。「潜在意識」に問いかけられえるような物語。読者が意識していない無意識の部分で伝えたいことを落とし込んでいるように思った。多くの人を引き付け映画化までされた物語は「神話の法則」など分析された形に収まらない何かがまだあるように思う。