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2019.7.15

小学生ヒグマさん(中編)

小学生ヒグマさん(中編)

こんにちは、ヒグマさんです。
前回「小学生ヒグマさん(前編)」に続き、中編をお届けします。

ヒグマさんファミリーの家が売却され母、兄、父とバラバラに暮らしながらも、
父のおばあちゃんの家での生活がスタートしました。

おばあちゃんの家に「引き取られた」と言うと環境が変わったように聞こえますが、元の住んでいた家から徒歩3分程のため、遊ぶ友達も遊ぶ場所も実は何も変わらないのです。
母も兄も、どこに住んでいるのか不明な父もバラバラではありますが、おばあちゃんの家に順に遊びに来るので何の寂しさも不自由もなく、どちらかと言うと結構楽しい生活が続きました。

その生活が暫く続いたのですがヒグマさんが小学校4年の夏休みが終わった頃から、父がおばあちゃんの家で一緒に寝るようになります。

父は子どものような大人で、普段は面白い事ばかりしますが、突然怒り出して暴れる事が多々ありました。その父と久々に一緒に寝る生活はこれまでの自由が奪われる様な気がして、怖い面もありましたが、やっぱり親がそばにいるのは嬉しいもので内心は喜んでいました。

…はずなのに、不安だけが大きくなったのを今でも覚えています。

父は住んでいるというより「一時身を寄せている」感じでした。
その空気は小学生のヒグマさんも感じていて、その表現しづらい家全体の雰囲気が不安で仕方ありませんでした。思い返してみれば、ヒグマさんファミリーの家が売られる前の家の中の雰囲気とそっくりだったのです。

この頃からヒグマさんは不登校になります。

特に学校が嫌なのではないのに、起き上がれない。起きても行きたくないという日々が続きました。朝から父に蹴られて家を追い出されたり、時には母が朝からおばあちゃんの家にやってきて引っ張られながら連れて行かれましたが、途中で電柱と合体して動かなくなった事もありました。

不登校の理由は明確です。
学校に行って帰ってきたら、もう誰もいないんじゃないかと思っていたのです。

 

そして、この予感は的中します。

 

ある日、不登校もなくなり学校で休み時間に友達と遊んでいた時、当時一番仲の良かった友達のお母さんがキョロキョロしながら廊下に立っていました。ヒグマさんを見つけるな「やっと見つけた!」という表情でこちらに近寄ってきます。この時かなり「嫌な事がおこるんじゃ・・・」と思ったことを鮮明に覚えています。

友達のお母さんは、ヒグマさんの前にしゃがみ、少し強張った表情で第一声目「ヒグマさんの家は帰っても誰もいないから、今日からうちの家で寝るねんで。」と言われました。もともとはっきり喋る人でしたが、そこまで前振り無しにちゃんと言われると何も言葉が出ないものです。

ここからはあまり記憶がなく、覚えているのは学校から帰った後、友達の家の前で友達とあみだくじをして遊んでいたことです。一切笑うことなく。その時家の説明を受けたのか、受けていないのかははっきりと覚えていませんが、家がどうなっているかが気になり、友達にひとこと言って家を見に行きました。

誰もいない現実を突き付けられるかもしれないため、正直怖かったのですが本当に誰もいないのかをただ知りたく、家に向かいました。

恐る恐る家に行き玄関の扉に手をかけると、扉は鍵がかかっておらず普通に開きました。

家に入るとおばあちゃんと父がいて、何もなかった様に「おかえり」と笑顔で言ってきました。ヒグマさんはきょとんとした後、少し涙目で「なんや、いるやん」と言ってリビングに座り込みました。

しばらくすると友達のお母さんが友達の家に移動していたヒグマさんの荷物を持って来てくれました。

何がなんやらわからないまま、その日は珍しく中華の出前を取っておなか一杯食べた後何事もなかったようにヒグマさんは就寝しました。

 

次の日の朝起きると、父はいませんでした。

 

いつもヒグマさんより起きてくるのが遅いのにすでに姿がなく仕事に行ったのかな?とおばあちゃんに聞くと「そうやね」だけを言っていつも通り朝ご飯を作っていました。

あまり気にせず朝ご飯を食べて学校へ行き、その日は土曜日で学校が午前中で終わりだったので昼過ぎに家に帰ると、父の会社の人たちが3人程リビングに座っていて、おばあちゃんにすごい剣幕で怒鳴っていました。

何の話をしているかは全く分からず、ただただ友達の家に行くように促され、しぶしぶ友だちの家で過ごし、夕方家に帰るとおばあちゃん以外誰もいなくなっていました。おばあちゃんは何もなかったように晩御飯を作り、普通にテレビを見ながら笑っていましたが、目は真っ赤だったのを覚えています。

次の日、いつも笑顔の兄が珍しく笑顔なしでおばあちゃんの家にきます。そこで兄が話した内容でヒグマさんは今家で何が起きているのか全てを知ったのです。

・借金はまだ残っていて、現在我が家は借金取りに追われている。
・借金は連帯保証人になった父が騙されて背負う事になった。
・ニッチもサッチいかなくなり父は夜逃げした。
・その借金は母が背負うことになった。
・父と母はすでに離婚している。
・毎月の支払いが滞ると、おばあちゃんの家を売ることになる。

友達のお母さんが学校に迎えに来きてくれたのは、父の夜逃げが決定した時、ヒグマさんがいれば父が出づらくなる事、そのあと家に借金取り、身内、会社の人などが押し掛けてくる事、母の家にも同様の事が起きるため預けることが出来ない、などの理由から一時的に友達の家に避難させたくお願いした様でした。

その中、ヒグマさんが突然家に向かったので、友達のお母さんがおばあちゃんに電話で状況を説明。突き返すのはやめて何もなかったかのように楽しく振舞おうと父と決めたとの事でした。

ハリケーンの様な勢いですべてを知りましたが、実は特にショックはありませんでした。長い間何も知らずに次に何が起こるかわからない不安が続いていたため、ヒグマさんとしてはわかってほっとしたという感情の方が大きかったのです。

その後母は頑張って支払いを続けていましたが結局1年経たずに滞ってしまい、結果的におばあちゃんの家は売ることになりました。

家を出ることなったヒグマさんは母と兄の住む2DKのマンションへ行くことになりました。
この時ヒグマさんは5年生中頃という事もあり、小学校と相談して残り約1年半は転校せず通えるように学校側が取り計らってくれました。

おばあちゃんは行く所も身寄りもないため、母が引き取り一緒に暮らすことになりました。

女手一つで子供二人を育てていくだけでも大変な中、別れた旦那の母親を引き取るという豪気さは、小学生の時あまりわかっていませんでしたが、大人になるにつれ母の「器の大きさ」と「本当の優しさ」を肌で感じていきます。

 ここからダイニングキッチンと五畳二間しかない狭い一室で母、兄、父側のおばあちゃん、ヒグマさんという少し奇妙なメンバーでの生活が始まります。

 これが今後の人生に大きく影響を及ぼす「出来事」です。

 小学生ヒグマさん(後編_出会いその2)につづく

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