2018.11.27
ストーリーマッピング
こんにちは、代表の杉山です。
最近嬉しいことに、初めてお会いする方や久しぶりに再会した方々から、ブログ見てますよ!と言っていただけることが多くなりました。
いつもはストーリーにまつわる私達の考え方や想いなどを中心に綴っていますが、折角なので実際の業務で使用しているツールや手法論などのノウハウなども皆さんのお役に立てるように開示していきたいと思います。
少しでも私達がどんな仕事をしているのか、ストーリーの考え方がいかに業務に組み込まれていくのかについて皆さんに伝われば幸いです。
まずはじめは、ストーリー×マーケティングの流れの中で、一番活用頻度が高い「ストーリーマッピング」についてお話したいと思います。
【ストーリーマッピングとは】
このブログを読まれている皆さんであれば聞かれたことがあるかもしれませんが、マーケティングにおいて、企業が生活者が特定の商品を購入したりサービスを体験するまでの行動を「旅」と捉えて可視化する「カスタマージャーニーマップ」というツールがあります。
当社では、このカスタマージャーニーマップのことをストーリーマップといい、それを作り上げる過程を「ストーリーマッピング」と呼んでいます。
単に名前を変えただけですが、あえてこう呼んでいるのは生活者の行動を捉える際に、「そこにストーリー性はあるか?」を意識できるようにするためです。
このブログでも度々登場する神話の法則などに代表されるように、人の心を惹き付ける物語には一連の流れ、型が存在します。
日常から旅立ち、苦難に直面してそれを乗り越える、そんなドラマが日常の何気ない瞬間にも起伏の大小はあれ存在する。
それを可視化したものがストーリーマップです。
【ストーリーマッピングの流れ】
それでは実際にストーリーマッピングの流れを具体例を挙げて説明していきましょう。
今回は架空の家具屋さん、特にオリジナルのクッションを売りにしているネットショップを想定して、その新規顧客となり得るお客様のストーリーをマッピングしてみます。
■ターゲットを想像する
まずはそのお客様の生活をイメージしやすくするために、キャラクターを具体的に想像します。
いわゆるペルソナ、と言われているものですね。
ペルソナシートは可能であれば実際にクッションを購入していただいた方に直接話しを聞いて作り上げることがベストですが、難しい場合には購入された方のデータをもとに、ターゲットに近い友人や知り合いなど、身近にいる実際の人物を想像しながら書くとグッとキャラが立ちやすくなります。
この想定顧客の名前や、どんな雰囲気を持つ人なのか伝わるように仮で写真も記載したり、趣味や好きな芸能人まで具体的に記載する欄を設けることで、より具体的なイメージを持てるようにします。
■ストーリーマップに落とし込む
具体的なキャラクターが想像できたら、次はその人が商品を認知する前から購入に至るまでの各過程での思考と行動、そこで接触するメディアをそれぞれ想像していきます。
当社では、
日常→きっかけ→盛り上がり→不安・葛藤→解決→安堵→次のステップへ
という段階にわけていますが、結構このラベリングが重要なポイントで
一般的なAISAS(注意、関心、検索、行動、共有)などで切り分けるよりも
よりそのターゲットの「気持ち」に目を向けたイメージができるのではないかと思います。
次に、それぞれの段階での想定顧客の気持ちの盛り上がりを曲線で仮で描いてみます。
(ナラティブアークと呼んでいます)
この曲線にきちんとした起伏があるか、途中で興味が途切れてしまうストーリーになっていないかを確認しながら、次のアイデア出しのステップへ進みます。
■気づきを得る
想定顧客の行動がイメージできたら、よりその感情の起伏を豊かにしたり、次のステップへ進ませるためのアイデアを検討します。
ここがストーリーマップを活用することでの具体的なメリットが得られる部分となります。
下記が完成形のストーリーマップです。
想定顧客の思考や行動で特徴的なポイントを赤字にしておくと、そこから発想も生まれやすくなります。
ここではその上で、気付きを「メディアアプローチで考えられる案」「クリエイティブ面で考えられる案」「その他の案」の3つの視点で切り取ることでアイデアを出しやすくしています。
また、先程のナラティブアークとも照らし合わせながら、盛り上がりが足りていなければ、もう少しワクワクさせるような見せ方や仕掛けができないか、などを考えていきます。
ここまでの一連の流れをチームでディスカッションしながら作成するのも良いのですが、当社ではまずはざっと担当者が大枠を作成してからチームに向けて説明し、抜けてしまっている視点はないか、こんな施策も考えられるのではないか、というフィードバックを受けるようにしています。
そうすることで必然的に誰が見てもわかりやすい資料になっていきますし、様々な視点、角度からのアイデアを集めることができます。
■ストーリーマップの活用
カスタマージャーニーマップを作ってみたものの、どう使ったら良いかわからない、という声をよく聞きますが、当社ではこのストーリーマップを作成していく行為自体に価値があると思っています。
わかりやすく言うと「気付き」を得ることと「理解を深める」ための手法、でしょうか。
カスタマージャーニーマップは顧客行動を可視化することで、部署を横断して顧客体験における課題の共通認識を持つために使われることが多いようですが、ストーリーマッピングは共通認識を持ちやすくなる、というメリットの他に
- 一連の感情の起伏の中で、どうしたらこの人の気持ちを動かせるのか、という視点から具体的な施策のアイデアを得ることができる
- 一人のターゲットを具体的に想像することで顧客理解が深まる
- チームでディスカッションする機会が生まれることにより、気づいていなかった顧客の新たな一面に気づくことができる
という効果があると捉えています。
よろしければ皆さんも使ってみてください!